はじめに
古代から現代までの東海道(道路)の歴史について、6回に分けて解説します。
日本書紀に登場する「四道」から現代の「新東名高速道路」まで、東海道は常に日本を代表する幹線道路であり続けています。
第5回は、現代です。
現行の道路法に基づく一般国道(当初は一級国道と二級国道)及び高速自動車国道を軸とした道路網が日本全国に張り巡らされています。
一級国道1号・一般国道1号
昭和27年(1952年)の道路法施行により、国道が一級国道と二級国道に分けられました。
一級国道には1号から40号まで、二級国道には101号から244号までの番号が与えられました。
一級国道1号:東京都中央区(日本橋)~大阪市
大正国道の記事で「国道2号の一部(日本橋~大阪)が東海道に相当する」と書きましたが、一級国道1号は、そのルートをほぼ踏襲しました。
したがって、「一級国道1号は東海道に相当する」ということができます。
東京~横浜間では、第一京浜と第二京浜という2つの幹線道路が並行していましたが、新しい第二京浜が一級国道1号(東京~大阪)となり、第一京浜は一級国道15号(東京~横浜)となりました。
これは、新しくて高規格の第二京浜の方が、東京と大阪を結ぶ幹線道路という一級国道1号の役割にふさわしいとされたためであると考えられます。
その後、一級国道、二級国道には少しずつ路線が追加されていきました。
昭和40年(1965年)の道路法改正により、一級国道と二級国道が統合されて、一般国道となりました。
一般国道1号:東京都中央区(日本橋)~大阪市
江戸時代の東海道五十七次(江戸日本橋~大坂)を元にして、旧道から新道への部分的なルート変更を少しずつ繰り返して現代の一般国道1号(東京日本橋~大阪)になっています。
江戸時代の東海道も現代の一般国道1号も「東京と大阪を結ぶ幹線道路」という役割は同じであり、さらに日本書紀の四道の東海道からの「日本の東西を結ぶ幹線道路」という役割を現代まで引き継ぐものであります。
したがって、一級国道一号及び一般国道1号を「現代の東海道」と呼ぶのは自然の流れだと考えられます。
横浜市が定めた「愛称道路」では、現代の国道1号(第二京浜、ワンマン道路、横浜新道を除く)の愛称を「東海道」としています。
例えば、横浜市内の狩場インター付近の国道1号は、昭和25年(1950年)頃(大正国道の末期)に新しくできた道路ですが、歩道橋に「東海道」と表示されています。
また、グーグルマップ、オープンストリートマップなどでは、現代の国道1号(昭和30年代以降に新設されたバイパスも含む)に「東海道」という道路名が記載されています。
東名高速道路と新東名高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の岡崎東JCT~名港中央IC)
国土開発幹線自動車道建設法における東名高速道路の路線名は「第一東海自動車道(略して第一東海道)」といいます。
また、同法における新東名高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の岡崎東JCT~名港中央IC)の路線名は「第二東海自動車道(略して第二東海道)」といいます。
第一東海自動車道:東京都~小牧市
第二東海自動車道:東京都~名古屋市(東京都~海老名南JCT、新秦野IC~御殿場ICは未開通)
新東名高速道路が計画されるまでの東名高速道路の法律上の路線名は「東海自動車道(略して東海道)」でした。
したがって、一般国道1号に加えて、東名高速道路と新東名高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の岡崎東JCT~名港中央IC)も現代の東海道に含めてよいでしょう。
これまで見てきた古代東海道から現代の国道1号まではいずれも関東地方と近畿地方を結ぶ道路でした。しかし、東名高速道路と新東名高速道路(及び伊勢湾岸自動車道)はいずれも関東地方と中部地方を結ぶ道路であり、近畿地方に達していません。
東名高速道路は終点の小牧ICから先は名神高速道路となり、西宮ICに達しています。高速道路ナンバリングでは、東名高速道路と名神高速道路を合わせてE1となります。
また、新東名高速道路は終点の岡崎東JCTから先は伊勢湾岸自動車道になり、さらに四日市JCTから先は新名神高速道路になり、神戸JCTに達しています(一部未完成区間あり)。高速道路ナンバリングでは、新東名高速道路と伊勢湾岸自動車道と新名神高速道路を合わせてE1Aとなります。
したがって、E1及びE1Aはいずれも関東地方と近畿地方を結ぶ道路であり、古代東海道から現代の国道1号までと同様となります。
しかしながら、名神高速道路は法律上の路線名は中央自動車道西宮線(の一部)であり、新名神高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の名港中央IC~四日市JCT)の法律上の路線名は近畿自動車道名古屋神戸線であって、第一東海自動車道(第一東海道)や第二東海自動車道(第二東海道)とは別路線になっています。
また、現時点では、名神高速道路や新名神高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の名港中央IC~四日市JCT)を東海道と呼ぶことはほとんどないようです。
したがって、本サイトでは、現時点では名神高速道路や新名神高速道路(及び伊勢湾岸自動車道の名港中央IC~四日市JCT)を現代の東海道に含めるのは保留としておきます。
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